「古家を1000万円の予算でリフォーム(リノベーション)したいのですが、可能でしょうか?」
なかなかの難問でいつも悩みますが、とりあえず「可能です」とお答えしています。予算の上限を決めてリフォーム(リノベーション)を予算の範囲で行なうのであれば、それは一つの方法だからです。しかしながら、思い描いているイメージのリフォームが1000万円で可能かどうかは、リフォームの要望の整理と古家を調査し現況を把握しない限り、概算での検討も難しいとお答えしています。
「1000万円でリフォーム(リノベーション)」何故そのような問い合わせが多いのか気になっていましたが、どうも金融機関のリフォームローン関係や、ローンの有無は別としてリフォームならば1000万円くらいの金額というイメージがあるようです。
築年数が浅く、雨漏り等の不具合がなく、構造補強や断熱の強化をしなくてもよければ、予算の1000万円を内装と設備にそのまま使えるので、かなりのことができます。マンションの場合も外装や耐震などの基本的な性能の維持は修繕積積立金等でまかなうので、自分の専有分のリフォームでは内装と設備に予算を投入することができます。しかしながら、耐震補強や雨漏れの修繕、更に断熱性能も改善したいとなると、既存家屋の性能を改善するだけでも1000万円予算では足りなくなってしまうことが多々あります。
戸建て住宅を限られた予算の中でリフォーム(リノベーション)するには、リフォームの要望と既存の住宅の状況を把握(既存建物調査)した上で、直すところと残すことろを取捨選択する必要があります。理想的には1000万円を内装や設備リフォーム費用として使い、既存家屋の性能を維持、さらに向上させるための修繕・改修費用は別途用意されるのが良いと思います。修繕費用としてはマンションの修繕積立金が一つの目安になると思います。およそ2万円/月の修繕積立(耐震補強はこの積立予算外になっています)をしており、建物の性能を維持するだけでも、それなりの予算が必要なことが解ります(例えば、築20年の建物で、今まで大きな修繕をしていないとすると、20年×12ヶ月×2万円=480万円+耐震補強が必要な場合はその費用)。既存家屋を架構(柱や梁)の見える状態まで、屋根+壁+床を解体(この状態を[スケルトン]と言います)し、間取りの変更、耐震や断熱などの性能の向上を行う全面リフォームの場合は、新築の9割程の費用がかかります。
リフォーム(リノベーション)は既存家屋の状態を把握することが先決です。
タウンファクトリーの建物調査では耐震性能、劣化、断熱、バリアフリーなど、快適に生活するための様々な指標で診断します。調査は建築病理学に基づいた(一社)住宅医協会の調査方法に準じて行ないます(TownFactory酒井は住宅医です)。さらに既存家屋のデザインや構法的に優れている部分のアドバイス行なっています。まずはご相談ください。
※古家を調査・診断し、性能を上げる大規模なリフォームのことを、リノベーションと呼ぶことが増えています。
▼調査結果表例(※この表は旧高田邸のイベント用にまとめたものです)